18.科学的な政治が必要

 政治には、お金の働きを理解する必要がある。お金は「おあし」との言葉があるように、動き回ることで何倍も価値を作り出す。理解しやすいように箇条書きで説明する。
1) 山田さんは銀行から1億円融資を受ける。山田さんには1億円の現金、銀行には額面1億円の借金証書(債権)が発生する。この債権は債権市場で販売可能で、1億円の価値がある。山田さんが銀行から1億円借りただけなのに、山田さん保有の現金1億円と銀行の額面1億円の債権で、合計2億円となった。
2) 山田さんが鈴木さんから1億円の商品を購入した。その結果、鈴木さんは現金1億円、山田さんは商品1億円保有する。この段階でも合計2億円となった。
3) 鈴木さんが加藤さんから1億円の商品を購入した。その結果、加藤さんは現金1億円、鈴木さんは商品1億円保有する。この段階でもまた合計2億円となった。
4) 加藤さんが銀行に1億円貯金する。加藤さんには貯金残高1億円と銀行には現金1億円で合計2億円となった
 銀行から山田さん、鈴木さん、加藤さんそして銀行と5回1億円の現金が移動すると、あら不思議、現金1億円、商品2億円、債権1億円、貯金残高1億円の合計5億円になる。日銀から出発したお金は、そのようにして平均8回使われ、8倍の価値を生み出す。お金はラグビーボールのパスのように、どんどん渡す事が重要である。渡れば渡るほど価値が生まれる。移動で価値を産み出さないのは、税金と詐欺・泥棒だけである。

 ここまでお話しでアベノミクスを説明するとわかりやすい。デフレ環境下で経済回復の為に行われた政策が「アベノミクス」である。アベノミクスでは、政府と日銀が政策協定を結んでインフレ率2%を目標とした。政府と日銀が手を結んで経済拡大に政策転換し、内外に経済拡大の政策目標を鮮明にした。その上で「異次元の金融緩和」を行った。超低金利政策を行ったうえで、国債を市中銀行から大量に購入し、社債、株式などの日銀引き受けなどを行い、大量にお金を市中に送り出した。世の中は、不況状態である。まずは、政府が公共事業他で、最初に大規模にお金を使った。大胆な財政投融資である。そして新しく商売を始めやすくする為に、大胆な規制緩和を進めた。

アベノミクスのメッセージは、「日銀と政府は政策協定を締結して、インフレ率2%を目標に、経済拡大を進めます。異次元の金融緩和を進めますので、銀行からの融資は受けやすくなります。政府が率先して大規模にお金を使いますので、景気はすぐに良くなります。規制も大胆に緩和しますので、事業者の皆さん、新規参入事業者の皆さん、お金をどんどん借りて、どんどん使って、新しい商品を製造、販売して事業を活発にして、多くの人を雇ってデフレを脱却いたしましょう」。そう、経済縮小のデフレ局面からの脱出の為にやるべき普通の政策である。なぜ安部首相の登場まで、20年以上にわたってこのことができなかったのか。財務省が、プライマリーバランスなど単年度会計主義をとり、政府債務などを口実に増税・緊縮路線を取り続けた事、自民党が財務省に洗脳されていたこと、国会ねじれ時代を含めて民主党が経済に無知だったことが原因であろう。民主党と財務省は東北大震災のあと、国民から大事なお金を巻き上げる復興増税なども行って景気を冷やしてきた。消費税増税は民主党の時代に決定して、安部政権下で2度の延期を末にトータル5%から10%に増税された。これも、デフレ環境下では馬鹿げた政策であった。

 現在は、金融政策、財政政策などで経済全体をコントロールし、経済が低調の時は金融緩和を進め、経済が過熱気味の場面では金融引き締めを図るなど、景気が長く続くように調整している。だから安心して金儲けに励めることになる。小泉政権での竹中平蔵や第二次安部政権でエール大学浜田宏一教授、高橋洋一他のマクロ経済学者が、現実経済の数理分析に基づいて、既得権益にとらわれず、国民の為に科学的に行ったように、省益優先の国家官僚では無く、科学データによる政治を推し進めて頂きたい。

 良く政府債務1000兆円で、ハイパーインフレが発生するような馬鹿げた宣伝がなされている。また、一人800万円の借金返済に向け、増税が不可避である宣伝もなされてきた。高橋洋一の説明によると、日本政府債務の約半分(500兆円)は日銀が引き受けており、政府が支払う利払いは日銀(政府の子会社)の利益金として政府に納入されている。500兆円の利払いは実質無い状態である。500兆円の元金は、日銀を対象とした国債の借り換えは永遠に可能なため何も問題が無い。残りの500兆円は、政府の保有する約600兆円の金融資産の利益金他で充当可能であり、中身をみれば何も問題無しである。この政府債務1000兆円で国民を欺き増税を企てる財務省は、そろそろこんな地方に住む老人でさえ気が付き始めたことを理解すべきである。

 インターネットで「日本国 貸借対照表」と検索すると、財務省のホームページから、A4紙57頁もの詳しい資料を手に入れる事が出来る。この貸借対照表を始めて作成し公開したのが高橋洋一である。大変な功績である。

 野党の主張する「労働分配率(労働者の給料)」を上げる事とか、ベーシックインカムなどでは、健全な商品開発の競争は起きない。コロナ禍で一人10万円の特別給付を有難く頂戴したが、年金生活者である私の消費行動は全く変わらなかった。広く薄くお金を配る事は、経済を良くする上では効率が悪くなる。韓国文在寅大統領の下で、最低賃金を25%一挙に上げた結果、中小零細業者、小売店の大量倒産を招き、景気が極端に悪化したことをしっかり理解する必要がある。お金は融資(貸付金)の形で、商品を生産する事業者に渡して、有効に使って頂くことが重要である。ポピュリズムでは日本が発展できない。「減反政策」で農業が発展しなかった事をしっかりと反省する必要がある。

 商品開発や起業は、小資本・小人数でできるものから、私企業では不可能なレベルのものまで様々である。所有率が約90%に到達したスマホのアプリ開発や、これも普及率約80%に到達したパソコンを利用してのYoutuberなど、ほとんど立ち上げ資金を必要としないものもある。一方で「核融合」「スーパーコンピューター」「宇宙開発」「総合型AI」「量子コンピューター」「生命科学」「医療」など、自由経済諸国間連携で官民協力で強力に推し進めなければならない案件も数多く存在する。商品開発で後れを取った国がどうなるかは今のロシアを見れば分かる。二位では全くダメなのである。民間の起業を強力にサポートすると同時に、先端科学分野を主導する政治を是非とも期待したい。また、やはり日本独自の差別化商品の基礎は、基礎科学の進展であることは、青色発光ダイオードやリチウムイオン電池などを見れば明らかである。票になる老人福祉では無く、若手の科学技術研究者の地位を大幅に高める方策が必要である。

 この10年がカギである。お金、情報、組織(会社・役所)がインターネットの中に潜り込んで変態(変化以上)しようとしている。これは後でお話する。高速インターネット通信網、とりわけ5G、6Gは国の安全だけではなく、国の存立すらも左右する大事となっている。可及的速やかに、インターネット環境の独立と安全保障を確保する必要がある。今やハッキングは地球の裏側のパイプラインを攻撃し、銀行からお金を奪う事態となっている。ロシアのクリミア半島強奪は、まずはインターネットからの侵略であった。インターネットを通じた侵略で、電力供給を遮断し、交通を大混乱に陥れ、水道を止め、経済を大混乱に陥れることは、アメリカのパイプラインをロシアハッカー集団が止めた事を見れば容易に想像される事態である。私見であるが、スーパーコンピューターとAIにより、インターネット網のセキュリティーを常時監視していただきたい。デジタル庁500人も大事だが、このインターネットの安全確保を民間レベルに任せていて良いのだろうか。政治は、インターネット情報網の「独立」を確保し、産業の発展に十二分な充実を図る必要がある。

 オリンピック開会式で、1830機のドローンがオリンピックロゴから地球を描くように群飛行した。美しかったが、ふと不安にとらわれたら、数日後にイラン沖を航行していた日本籍タンカーがドローン自爆攻撃を受けて、外国人船員が二人亡くなった。一斉に数千、数万の大型ドローンがレーダーに探知されない超低空から侵入して、日本の原発を含む様々な重要施設に襲いかかったらどうなるのか。科学技術会議が軍事研究に反対しているが、平和バカである。現実に既に日本のタンカーは、反撃しないことを良いことに2度も攻撃にあっている。日本の防衛力を本当に強くしていただきたい。またインターネットを含めた日本の防衛を本格的に研究して欲しい。脳内お花畑平和主義科学者・代議士は即刻退場願いたい。

 政治は、数字や科学に対する知識も無い野党、マスコミ論調と戦って欲しい。地球温暖化やトリチウムを含む原発処理水基準値以下海洋放出、原発再稼働、コロナ対策などである。

 1960年に発表された「産業活動が排出する温室効果ガスが地球温暖化の原因」とする説は、提唱者C.D.キーリング自身が1989年に気温変化が二酸化炭素濃度変化に1年先行する(気温変化が二酸化炭素変化の原因)とするデータを発表している。この話は別Reportで取り上げるが、環境共産主義者(人新世の「資本論」:斎藤幸平等)が、「我々の生存権の為に資本主義と戦う」と大声を上げ、経済のゼロ成長(計画経済=社会主義経済)を狙い、産業社会の弱体化と、エネルギーのひっ迫を狙っている状況では、日本の発展を確保する為に大変重要な問題である。

 トリチウムは自然にも大量に存在して、微弱なβ線なるものを放射して崩壊し、半減期12.4年である。この微弱な放射線を「β線」と説明するからややこしくなる。ただ単なる電子線である。力道山が空手チョップで戦うのをブラウン管テレビで見ていたあの頃のテレビの中の電子銃により作り出されていたのが電子線である。エネルギーを持っているから蛍光物質に衝突して光るのであるが、ブラウン管テレビを見て(電子銃の正面に立って)障害を起こした話は聞かない。アルミ箔一枚で電子線(β線)は防御出来る。体に入る事はあり得ない。原発再稼働、コロナ対策など非科学が野党とマスコミ扇動により跋扈している。

政策の判断基準に科学をしっかりと置き、その説明を政治がしっかりと行っていく。偏った報道に、正確な情報で対峙していく。政治もインターネットから発信出来る時代である。

Report 1 人類と創造力そして未来


目次(ClickJump)
1  はじめに
2  現生人類を特徴つける認知革命
3  認知革命はいかにして起きたか
4  農業革命とお金の発明
5  お金は世界に広がっていった
6  お金が経済を発展させてきた
7  激しい商品開発競争
8  全産業で商品開発競争激化
9  革新的大発明が社会を大変革
10  商品で会社、個人が評価
11  国は経済的合理性で評価
12  社会構造は商品開発力で評価
13  韓国社会(おまけ)
14  お金儲けは時に暴走する
15  経済的合理性と人道の矛盾
16  政治・法律は利権の塊
17  民主的統制で暴走を抑える
18  科学的な政治が必要
19  商品開発の様々なあり方
20  未来が始まっている
21  次の20年の激変
22  輝かしい未来へ
 
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◆ ホームページ発行人 林 信之
    岐阜県多治見市在住
◆ 連絡先 email :
  smilehayashi@wh.commufa.jp
◆ 版権者   林 信之