17.民主的統制で暴走を抑える

 自由競争を通じて、競争相手に対して優位を確保した企業が、ますます巨大化して、独占企業となり、自由経済社会の原則である公正な競争を脅かし、政治に影響力を講じて、自社に有利な政策を実行し、価格を吊り上げ、不当な利益をむさぼることは、社会の停滞を招くことになる。アメリカで1890年に成立した、シャーマン反トラスト法は議会を通じて民主的に自由経済を統制しようとする試みであった。その中で、1911年にロックフェラーのスタンダード石油を33社に、アメリカン・タバコ社の4社分割が裁判所から命令され、実施されている。日本では、大東亜戦争後の占領下で独占禁止法(1947年)が施行され、当時進行していた日本弱体化のための財閥解体(1945年―1947年)の根拠ともなった。たしかに、自由競争を野放図に容認すると、安売り攻勢で競合企業を打ち負かしたり、独占的地位を利用して脅迫し、中小企業の仕入れ商品を不当に安く買いたたいたり、談合により、税金で行われる公共事業で不当に利益を上げたりする結果となる。

 労働法制は、産業革命以降のイギリス、アメリカで徐々に法制化されてきた。平日平均10時間・土曜日8時間労働(1850年:イギリス:工場法)、12歳未満の雇用禁止(1836年:アメリカ:マサチューセッツ一般法規)、国際的には1919年に発足した国際労働期間(ILO)の下に180を超える労働条約を採択し、各国に批准されてきた。日本でも1945年から1947年にかけて労働三法と言われる労働組合法、労働関係調整法、労働基準法が成立している。

 金儲けの衝動は、歴史を揺り動かしてきたが、無軌道に暴走した様々な歴史を持つ。このような、無法は、民主主義的力で抑え込んで行く必要がある。普通選挙制度が存在し、任期の決まった首相、大統領と、各級代議士が選ばれ、三権が独立し、中央銀行があり、政府機関の暴走防止が確保され、労働法制、独占禁止法、不当競争防止法などの大企業の横暴を抑える法制度が整備されている社会を「民主的に統制された自由経済社会」と呼びたい。

 犯罪のスタイルも、インターネットやら様々な現代的なツールや、世相を巧妙に取り込んで変化してきている。変化する犯罪を事前に取り締まる事は出来ないが、類型化犯罪は、可及的速やかに取り締まるよう法律化をお願いしたい。

 なお「資本主義」はマルクスが使い始めているようであるが、私が見逃しているのか18万文字の資本論の中に、定義らしきものが存在しない。「崩壊 朝日新聞」(ワック出版)の中で、長谷川熙が現代社会を「自由経済社会」と呼ぶことを提案している。賛成である。

 現在、インターネットの中に、GAFA(Google社、Apple社、Face book社、Amazon社)などはじめとする世界を支配する巨大独占企業が誕生している。このGAFAは現実社会に大きな影響を既に与えている。Google社がトランプ前大統領のYou tubeアカウントを停止したことは、現在進行中の大変化を象徴する事件である。これらの横暴を統制するために、これから20年、間違えなく世界の民主主義が試される。日本の政治家は、しっかりと現実に世界で起きている事を理解し、先回りして対処していただきたい。「モリカケサクラ」では無いだろう。


Report 1 人類と創造力そして未来


目次(ClickJump)
1  はじめに
2  現生人類を特徴つける認知革命
3  認知革命はいかにして起きたか
4  農業革命とお金の発明
5  お金は世界に広がっていった
6  お金が経済を発展させてきた
7  激しい商品開発競争
8  全産業で商品開発競争激化
9  革新的大発明が社会を大変革
10  商品で会社、個人が評価
11  国は経済的合理性で評価
12  社会構造は商品開発力で評価
13  韓国社会(おまけ)
14  お金儲けは時に暴走する
15  経済的合理性と人道の矛盾
16  政治・法律は利権の塊
17  民主的統制で暴走を抑える
18  科学的な政治が必要
19  商品開発の様々なあり方
20  未来が始まっている
21  次の20年の激変
22  輝かしい未来へ
 
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◆ ホームページ発行人 林 信之
    岐阜県多治見市在住
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◆ 版権者   林 信之