12.社会構造は商品開発力で評価

 人々を豊かにする源は、お金であり、それを得るための商品である。人々が生き生きと働き、活性化された社会であれば、差別化された商品を活発に数多く生み出し続ける。そして、世界からお金を集めて、強大になっていく。社会構造は売れる商品を効率よく作り出しているかで評価される。その前提で、幾つかの国の社会体制を評価する。

 赤字を出し続けても絶対に倒産しない会社で、商品開発が出来るだろうか。熱心に働いても、さぼっていても給料が変わらなかったら、熱心に働くであろうか。絶対に倒産しない会社で構成され、尚且つ既存の商品の計画生産をする社会を作り上げたのは、1917年の革命により社会主義社会を築き上げたソ連である。現代に馬車を生産する会社がゾンビのように生き残っていたら、その社会は活性化していると言えるのであろうか。ソ連にVAZ(ボォルガ自動車)があった。車体が重たくって、デザイン野暮、エンジン非力、故障多発で、マフラーから黒煙を出して走っていた。当然ながら、自由経済諸国では、激しい商品開発競争を展開して、見る見るうちに自動車性能は向上したが、同じ自動車を計画生産し続けたVAZは「シーラーカンス」となった。そんなゾンビ会社ばかりで構成された社会を作ったのがソ連であるが、ソ連崩壊までの80年間で、激烈な商品開発競争を繰り広げていた自由経済諸国との間で決定的な差が生じてしまった。ソ連崩壊後30年が経過した今日でも、国際的に通用するロシア製商品を思い浮かべる事が出来ない。芸術、文化などありとあらゆる分野で自由経済諸国に後れを取り、人口が約1億五千万人であるのに、人口六千万人の韓国と同程度の150兆円程度のGDPでしかない。天然資源である石油、天然ガス輸出などが主要である経済後進国になってしまった。それが幸せな社会なのだろうか?

 現在中国では、日本の約9倍の二万九千kmの新幹線網が存在する。しかし、その負債額は86兆円で、一時日本に存在した赤字路線どころではない状況が続いている。大赤字を垂れ流しながら、現在も国民の血税を吸い取りながら運営されている。競争の無い国営企業で中国共産党の指導の下、「計画」生産された粗鋼は、世界の生産量の半分の十億五千万トンであるが、低品位物が多く、海外への効果的な輸出が出来ていない。数多くの誰も住まない鬼城と呼ばれる高層アパート群が建設され、各地にお客のいないホテルやら、まともな会社が存在しない。そんな無駄の塊もGDPにカウントされるからかん違いが起きる。中国も国営というゾンビ会社を中心とした社会を築き上げてきた。Made in Chinaは、先進国の生産設備と安い中国人労働者で製造された、安いだけが特徴のコピー商品である。中国で製造されているスマホは、アメリカや日本からCPUやアンテナ、カメラ部品などの主要パーツを輸入し、Google社のアンドロイドOSを載せた寄せ集め品でしかない。中国共産党が支配した70年間、中国で開発され、世界に通用する「The made in China」は存在していない。世界の生産基地は、間違えなく東南アジア諸国に移動しつつある。

 ソ連は既に崩壊したが、このソ連や中国ではまともな商品開発が出来ない。わずかに許可されている私企業が大きくなり、支配構造に影響を与える状況になると、アリババのジャック・マーのように逮捕され、取り潰される。この社会主義社会の最大の問題は、生産手段の個人所有が無く、商品開発してお金を稼ぐ理由が無い事である。個人所有が始まったのは、一万二千年前の農業革命の時代であった。その個人所有の農地を守る為に、村が作られ、国が作られ、軍隊が作られ、法律ができた。個人所有の農場では、所有者自身が来るべき冬に備えて熱心に働かなければならなかった。何もせずに遊んでいて冬に飢え死しそうなキリギリス人間が「平等」と叫んだら、家族の為に、一生懸命夏の暑さの中水を運び、麦を育て収穫したアリ人間は「バカ野郎!オトトイ来やがれ」と言うだろう。丹精を込めて育て収穫した麦を、必ず誰かに持っていかれたら、誰がその農地で麦を育てるのか。人間は、イソップ物語のアリほど、お人よしでも神様でもない。一万二千年間、人類全体が作り上げて来た社会の根本理念「個人所有」を蹂躙したら、社会経営が旨くいかないのは当然である。なお、イソップ物語の「アリとキリギリス」には3つのエンドパターンがあるので悪しからず。また、人々が生き生きと働いていないと、当然ながら創造力は出てこない。全体主義国家では、自由経済社会に対抗しうる商品開発が出来ないのは明らかである。良くできて軍事研究だけであろう。

 サムソン、ヒュンダイ、大宇造船などの財閥企業が支配する韓国であるが、この国にもオリジナル商品が存在しない。自動車、船、スマホからお菓子までコピー商品だらけである。世界シェア60%の半導体メモリも、日本の研究を元に、日本から輸入した製造機械やシリコンウエハ、フッ化水素他の原料素材を使って製造している。ヒュンダイ自動車の労働組合であるが、年がら年中賃上げ要求ストを展開していて、自動車生産遅延は日常化している。韓国GMは、長年のストライキなどによる生産効率低下と、7年連続の赤字決算の結果、韓国で自動車製造を断念し工場閉鎖を計画した。激怒した労働組合はオーストラリア人社長を社長室に軟禁して暴力事件を起こした。その後も労働組合はGM本社に、自動車製造の再開を要求し続けた。その間、韓国政府は労働組合に味方し、このオーストラリア人社長の出国を禁止している。こんな環境からしのぎを削る差別化商品が生まれるとは思えない。

Report 1 人類と創造力そして未来


目次(ClickJump)
1  はじめに
2  現生人類を特徴つける認知革命
3  認知革命はいかにして起きたか
4  農業革命とお金の発明
5  お金は世界に広がっていった
6  お金が経済を発展させてきた
7  激しい商品開発競争
8  全産業で商品開発競争激化
9  革新的大発明が社会を大変革
10  商品で会社、個人が評価
11  国は経済的合理性で評価
12  社会構造は商品開発力で評価
13  韓国社会(おまけ)
14  お金儲けは時に暴走する
15  経済的合理性と人道の矛盾
16  政治・法律は利権の塊
17  民主的統制で暴走を抑える
18  科学的な政治が必要
19  商品開発の様々なあり方
20  未来が始まっている
21  次の20年の激変
22  輝かしい未来へ
 
Click Jump
Top
前頁
次頁
◆ ホームページ発行人 林 信之
    岐阜県多治見市在住
◆ 連絡先 email :
  smilehayashi@wh.commufa.jp
◆ 版権者   林 信之