11.国は経済的合理性で評価

 国も政治も政治家も経済的合理性(お金)で厳しく評価される。

 フランスブルボン王朝のお話である。サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ河出書房)から抜き書きしてみよう。1717年、フランスに国策会社ミシシッピ会社が作られた。この会社はアメリカのミシシッピ川下流域の植民地開発を目的として運営された。ニューオリンズ市はこの会社によって作られた。当時ミシシッピ川下流域は、広大な湿地が広がり、開発は難事業であったが、ミシシッピ会社は途方もない富と無限の機会が待っているかのようなウソをルイ15世王室と一緒になって広めた。ミシシッピ会社の取締役にはフランス中央銀行総裁のジョン・ローがついていた。今の日本に例えると日銀総裁と総理大臣が、「ミシシッピ川下流域は、将来地上最高の楽園となる。投資は今、将来は百倍、千倍、いや1万倍の儲けは間違いない。」と宣伝するようなものである。人々はウソを信じ、狂ったようにミシシッピ会社の株を買いあさった。売り出しは500ルーブル、2年後に1万ルーブルの大台に乗った。誰もが自分が大金持ちになれると信じた。人々はミシシッピ会社の株を買うために全財産を売り払い、多額の借金をした。そして、やはりその時が来た。

投機家の中に、この株価が、維持不可能だと気が付いた者が出たのである。彼らは、最高値のうちに株を売り逃げした。株価は下落に転じた。他の投資家も株価下落に気が付くと一斉に株売りに転じた。大暴落が始まった。フランス中央銀行総裁でミシシッピ会社の取締役でもあったジョン・ローの指示に従ってフランス中央銀行が、ミシシッピ会社の株を買い支えたが、資金が枯渇した。そこでフランス中央銀行は、大量の紙幣を印刷した。その結果、フランスの金融界全体がバブル破綻に巻き込まれた。フランス中央銀行と国庫は空っぽとなり、無価値となったミシシッピ会社の株が大量に残されることになった。大物投資家たちは、まんまと売り抜け大半は無傷であった。小口投資家たちは全てを失い、自殺者も数多く出た。フランス王室には多額の借金が残り、ルイ王政は信用を失った。史上屈指のバブル崩壊である。この影響は長期に渡ってフランスを苦しめた。フランス植民地の多くはイギリスの手に落ちることとなった。また、信用を失ったブルボン王朝の借入金は当然ながら高金利で、金利払いに追われることになった。1780年代に祖父のあとを継いで王位についたルイ16世の時代では、宮廷予算の半分が借金の利払いであった。そしてとうとう行き詰まった。1789年、運命のその時、この危機の解決策として、増税を人々に押し付ける為に、三部会(フランス議会)を1世紀半ぶりに招集した。そして革命が始まった。これが、アンシャン・レジーム(三身分制)からの解放を目指して、自由・平等・博愛を旗印にブルボン王朝を打倒した、あの輝かしいフランス革命の舞台裏である。

 ロシア革命(1917年)も、ロマノフ王朝の日露戦争(1904-1905年)敗北、第一次世界大戦参戦(1914-18年)、経済的失政などがあり、ハイパーインフレ状態で、数多くのストライキやパンよこせ暴動が先行している。何よりもソ連崩壊(1989年)自体が、社会主義経済行き詰まりの結果でもある。

 政府、政権もお金儲けに貢献出来ないと存在価値を無くす。2011年に民主党政権が崩壊した。リーマンショック(2008年)からの脱却にもたつき、東北大震災、福島原発事故からの復興を主導出来ず、失業率は高く、就職率も低かった民主党政権の悪政は、しっかりと記憶に残さなければいけない。彼らはデフレと震災に苦しむ国民に「復興税」を掛け、財政出動で公共事業を活発にするべき時期に「コンクリートから人へ」と、財政を絞り、町々の建築・土建業を大量に倒産・転業に追い込んだ。当時の日銀(白川総裁)は、各国で進められた金融緩和をよそに、不十分な金融政策を行った。安保・外交を含めて何一つ良い事が無かった。やはり悪夢のような民主党政権であった。

 福祉を除く会社、商品、社長、社員、国、役所、法律、文化など全ての存在理由は「利益を出して売れていること、もしくはそれに積極的に貢献している事」である。それほど深く、お金が社会生活全体に浸透している。

Report 1 人類と創造力そして未来


目次(ClickJump)
1  はじめに
2  現生人類を特徴つける認知革命
3  認知革命はいかにして起きたか
4  農業革命とお金の発明
5  お金は世界に広がっていった
6  お金が経済を発展させてきた
7  激しい商品開発競争
8  全産業で商品開発競争激化
9  革新的大発明が社会を大変革
10  商品で会社、個人が評価
11  国は経済的合理性で評価
12  社会構造は商品開発力で評価
13  韓国社会(おまけ)
14  お金儲けは時に暴走する
15  経済的合理性と人道の矛盾
16  政治・法律は利権の塊
17  民主的統制で暴走を抑える
18  科学的な政治が必要
19  商品開発の様々なあり方
20  未来が始まっている
21  次の20年の激変
22  輝かしい未来へ
 
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◆ ホームページ発行人 林 信之
    岐阜県多治見市在住
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◆ 版権者   林 信之